今回は数字のマジックということについて記します。
以前に男性の育休取得率が10数%程度ということを書きましたが、その数字がどのように算出されているのかが気になりました。
【厚労省の雇用均等基本調査】
男性における育休取得率の計算方法は以下の通りです。
男性の育休取得率 = 取得者数 / 配偶者が出産した社員数 × 100 (%)
これは厚労省の雇用均等基本調査というものに公表されているものです。
令和3年度では男性取得者の割合が13.97%となっています。
【取得率だけでは実態がわからない】
この計算方法だと休業期間が1週間の人でも1年の人でも人数にカウントされてしまうことになります。
さらに調査対象が全数調査かどうかもわかりません。(実際は無作為に抽出された標本調査)
【標本調査の信ぴょう性】
つまりテレビの視聴率や内閣支持率の世論調査のようなものと同じということです。
もちろんどれだけのサンプルを集めたのかわからないので、それぞれで信ぴょう性の程度は違うと思います。
しかし今、これらの数字を鵜呑みにする人は少ないのではないでしょうか。
それはインターネットの普及で自分で欲しい情報を手軽に得られるようになったことや、世の中に数字のマジックがあふれているからだと思います。
【数字のマジックは不誠実なやり方】
私が思う数字のマジックとは、例えばキャンペーン金利です。
投資信託や定期預金などで見られるいかにもお得に見える商品のことです。
見た目には高い金利が印象的なものですが、年利であるのにその対象期間が数か月だったり、販売手数料や税金を含まなかったり、最初の数年のみ対象で期間終了後は自動で元の金利に戻って継続される仕組みになっていたり・・・。
あとは携帯でよく見る「実質○○円」という表示もそうですね。
相手も商売なのでいかにお得感を出せるかを考えた手法だと思うのですが、買う側にとっては分かりにくくて不誠実です。
契約内容をよく確認しないのはダメですが、確認しても良く分からなかったり気づかなかったりで、後から実は損をしていると分かったときは騙されたと感じるでしょう。
【育休取得率向上は少子化対策の成果?】
さて、男性の育休取得率についてですが、政府は2025年までに30%という目標を掲げているようです。
まず数字の向上だけでは子育てがしやすい環境になったとは言えないでしょう。
極端な話、1週間程度取得する人ばかりが増加しても実態は大して変わらないと言えるからです。
ところで私は内閣支持率なども操作されているという印象をもっている人です。
算出のためのサンプルは無作為に抽出されているものですが、都合の悪い数字は排除すれば、自分にとって都合のいい数字に操作することができてしまいます。
これは数字のマジックではなく不適切な虚偽の数字になりますが、これだけ世の中の数字に身構えてしまう今の時代なら、悲しいかな私は普通にあり得るのかなと思ってしまいます。
「赤木ファイル」の存在で公文書改ざんという、およそ民主主義とはかけ離れた事件が明るみになる時代です。
政府が設定した目標数字に近づけるため、ばれなきゃいい、あるいは仕方ないと考える人はいるのではないでしょうか。
数年後、勘違いした政治家が「少子化対策の成果です。子育てがしやすい社会に一歩前進しました」とどや顔で言っている姿が目に浮かびます。
【数字ではなく良くなったと実感できる社会がいいと思う】
一会社員の私ができる事は世の中にほとんど影響を与えない非常に小さなことです。
しかし、今回所属する会社という私の小さな社会の中で、本社で一人、大阪支社で初めてという男性の育休取得に踏み切りました。
これをきっかけに経験からくる話を後輩たちにもできたらいいし、会社の中で取得することへの意識の向上になればいいなと思っています。
自分が良いと思う小さな行動を積み重ねていき、やがて自分の子どもが大人になった時、数字ではなく実態として、社会が良い方向に変わったと感じられるようになっていることを願います。