育休中のリスキリングについて

 今回は最近話題のリスキリングについて思うことを記します。
私の場合は妻がもともと専業主婦であり、第二子が生まれた時に育休を取得しました。

【育休中の自分の時間】
 長男が生後10か月になり、少しずつ自分で寝たり、まとまった時間寝られるようになってきました。
妻と私である程度役割分担がなされていますが、やはり自分の時間がとれるのはみんなが寝た後の20時以降になります。
長女が幼稚園に行っているときに長男が昼寝するときもありますが、基本的に本など読んでも気になって集中できない感じです。

【自分はこれからどうなりたいのか】
 そんな自分の時間には最近簿記の勉強をしています。
私の勤め先の主軸は製造業ですので、工業簿記を学びたいと思ったのがきっかけです。 
将来的に現場から工場へ配属された場合、設計などの一専門部署の知識だけでなく、工場も含めた会社の全体像を掴んでおきたいという思いがあります。
また、工事部に所属している今でも半期に一度年度予算に対する達成状況や粗利、一人当たりの生産高等を会議で説明されますが、それが何の基準をもって良いか悪いかも分かっていませんし、今までわかろうともしませんでした。
40手前になってこれから管理職にもなるのに、いつまでも現場の事だけわかっていればいいという考えもさすがにまずいなぁと思っていました。
2月下旬に日商簿記3級と2級を申し込んでいますので、そこをリミットに勉強しているところです。

【育休中のリスキリングについて】
 さて、金曜日の参院本会議で育休中のリスキリングを後押しするという総理の答弁が話題になってますね。
これ私のような育休と専業主婦で夫婦ともに家にいる比較的まだマシなパターンでもかなり厳しいこと言ってます。
私は独学で前回11月に日商簿記3級を受けましたが、落ちてしまいました。
勉強時間が足りないとか地頭の問題もあるのでしょうが、私の見解では育児をしている状況で勉強するということはかなり厳しいです。
頑張れる人は一定数いるのでしょうが、共働きで奥さんだけが日中家にいるパターンだと負担がかかりすぎるし、ましてそれを後押しする意味がわかりません。

【後押ししてほしいところは別にある】
 そもそもスキルアップやリスキリングのために自分が何を勉強してこれからどうしていく必要があるかを明確にイメージできる人は少ないのではないでしょうか。
私は資格の勉強をしていますが、そもそも資格だけとっても実務経験を積まないとキャリア形成にはならないと思っています。
宅建や士業など資格を持つことで出来る仕事もありますが)
会社員でこの資格持っていたら年収100万円単位で上がりますというものは無いように思いますし、出世して給料が上がっても所得制限に引っかかったり超過累進税率でさらに多くの税金を納めることになったり、そんなに生活が良くなることはないと思います。
じゃあ本業でなく副業や投資のための勉強をしよう!と思っても、支援を検討されているのは「企業」に対してです。
会社を休む人に対して企業が自社の成長戦略のためにこれを勉強しておけ、システムを構築しておけ、概案をまとめておけと指示するということでしょうか?

もはやただの仕事です。
育休中の個人を直接支援するものではないし、政府の根本の意図が分からないです。
キャリア形成が重要と考える人はわざわざ育休中にせずとも自分のタイミングでしっかりやるでしょう。
企業に対しては今でもキャリアアップ助成金などの制度があるわけで、新設より現行制度の見直しでいいのではないでしょうか。

【パッケージ案を危惧する】
 制度が新設や改善されると抱き合わせで別の事が改悪されるという話があります。
一方を補助すれば、その予算確保のために他方を締め付けるという感じでしょうか。
(NISA恒久化などの改正も代わりに何かあるのではないかと言われていますね)
何でもかんでも変な制度を新設するのは反対です。
変に助成する制度が増えて、生活が助かったりリスキリングで賃金が上がったなどと判断されれば、育児休業給付金など個人にとって本当に必要なお金が削られたり安易に増税するただの口実にされるかもしれません。

「異次元の少子化対策」 この言葉はやはり数年後にも虚しく響き渡っていそうだなぁ・・・。