責任の所在

 今回は責任の所在ということについて記します。
工業簿記を勉強している中で面白い記述がありました。
原価計算のために細かい分類があるのですが、主に製造間接費がどの製造工程(部門)でどれだけかかっているかを反映するために部門別計算というものを行います。
この部門別計算の目的として、原価の発生に関する責任の所在を明らかにするという記述があるのです。
なるほど簿記の世界では製造(原価)における責任がどこにあるのかを原価と言う数字で部門別に示すことで考えられるのだと感心しました。

【指揮命令系統の厳守】
 会社のような組織の中で問題が起こったとき、誰の責任かが明確にわからない場合があります。
そうならないために私が絶対に守り守らせていることは指揮命令系統です。
現場には元請けの立場で行くことが多いのですが、一緒に仕事をしてくれる一次下請け、その下に二次下請けと呼ばれる協力会社の方がいます。
元請けは一次下請けを飛ばして二次下請けに直接指示することはできません。
さらに言うと一次下請けの中でも責任者の方にしか作業の指示は出しません。
そして各責任者が自分の会社の作業員に責任をもって指示するのです。

ところが現場を巡回していると、この指揮命令系統を無視して一作業員の方から質問されたりするのです。
内容は大小さまざまですが、私はどんなに小さな指示でも絶対に出しません。
「まず、自分の会社の責任者に聞いたんですか?」と言い返します。

指揮命令系統なんて当たり前だよと思うかもしれませんが、これが出来ない人は結構います。
確かに目の前に答えを知っている監督がいれば聞きたくなるのかもしれません。
しかしそれが常態化すると、現場のあちこちで予定と違うことが起こり、元請会社として決めている安全な施工計画が変わっていくことに抵抗がなくなってしまうのです。
安易に出した指示でもし事故が起こったら誰が責任を取るの?私やあなた個人でどうやっても取れないでしょ?となります。
(ただし危険な行動をしているときに限り、直ちに作業を止めるよう指示を出します)

【組織に守られている】
 面倒くさい監督だと思われているかもしれませんが、指揮命令系統を守ることがみんなの身を守ることになると信じています。
これが守られていないと、有事の際に会社として社員を守り切れないということもあり得るでしょう。
逆に言うと、どんな不安要素も自分が指揮下にある組織のトップの耳に入るようにきちんと報告しておけば、自分の身は守られると言えるでしょう。
自分の独断で勝手にやったことについては自分で責任を負うことになりますが、トップが「知らなかった」ということでなければ組織として必ず守ってくれるはずです。
(そうでない組織からは去る。ニュースを見ていると、なぜトップが責任をとることが少ないのか疑問に思います。)

【トップとの接し方】
 ある程度自分で仕事ができるようになると、こんなことも忘れて会社や上司が嫌だと文句を言ったり、自分で勝手に仕事を進めたりしていました。
しかし、自分はある意味子どものようなもので、守られた立場で仕事をさせてもらっているということを忘れていたように思います。

いざという時が訪れないと、なかなか現状に感謝することは難しいのかもしれません。

例え馬が合わない人だとしても、責任ある組織のトップにはリスペクトをもって接することが大切だと思います。

忘れないようにしたいです。