行動する前に浮かぶ座標軸

 何か新しい行動をする前に、これってやらない方がいいのではないかと迷うときがあります。
その時に冷静に判断するために、私は頭の中で座標軸を浮かべます。
数学で出てくるx軸、y軸です。
詰め合わせのコーヒーセットでは「苦味」「酸味」など表していますね。
このx軸に「やりたいかやりたくないか」、y軸に「自分にとって損か得か」を当てはめて考えるのです。

座標軸

若い女性社員を雇わない発言】
 どうしてこれを思ったかと言うと、数日前のニュースである女性経営者が話題になっていたからです。
「寿退社や産休・育休されると困るので、若い女性社員を雇いません」と発信したものです。
この方は中小企業の厳しい状況を分かってもらいたかったようなのですが、以下の2点についてもやもやしました。

・批判覚悟ですが、と話の最初につけたこと
 →組織のトップがわざわざ火種になるものを投げないでほしい。炎上して部下にまで影響がでたらどうするの?批判覚悟ではなく、私の力不足が原因ですがと言ってほしい
・こういうところに政府の助成金をつけてほしい、と話をまとめたこと
 →経営者なら従業員を守れるだけの力を自分がつけるべき。

【働いてくれている部下の気持ち】
 この行動をしたことで、この人にとって何を得られたのか全くわかりません。
率直な感想として、今働いている従業員は嫌な気持ちになるだろうなと思いました。
誰しも怪我や生活習慣病などで長期間入院することもあり得ます。(うつになる人も多い)
誰しも家庭の事情で職を変えることもあり得ます。(実家の両親の介護や離婚等)
社長の発言は、「自分らは社長にとって仕事を辞めないと思われている都合のいい駒なのでは」と感じたのではないでしょうか。
そして経営が上手くいって会社の規模が大きくなったとしても、未来永劫若い女性社員が来ることはなくなるでしょう。
この社長は業績が悪くなったら真っ先に自分の首を切ると分かってて応募する人はいないはずです。

【責任者へのリスペクトとは】
 先日「責任の所在」というタイトルの私のブログで、組織のトップにはリスペクトをもって接したいと話をまとめました。
それはあくまで自分が会社に守られていると思っているからです。
この社長のもとで実際に産休などを経て辞めていった従業員は嫌な気持ちになっただろうなと思います。
その人と共に仕事をしたことがあるであろう現従業員も、かつての仲間の気持ちを思うと複雑だろうなと思います。
会社は誰のものという問題の答えは「株主のもの」とよく言われますが、それは違うと思います。
そこで働いている全ての従業員も含むべきです。
従業員のことを大切に守ってくれるから責任者へのリスペクトがあるのです。
ニュースでは共感の声が多かったことに驚いたとありましたが、それは同じ経営者側の言い分でしょう。
私個人的には回転ずしの迷惑動画と同じく、何でこんな発信したの?と他人事なのにただ不快な気持ちだけが残りました。
このツイートをしたことで会社として何か得したものがあったのか。
私はこの行動の領域は「やりたい , 損」であったと考えます。
従業員の生活を預かる経営者が損な行動をとるのなら、そこにリスペクトは存在しない。