育児とゆでガエル

 今回は育児とゆでガエルということについて記します。

【ゆでガエル理論】
 現場で仕事をしているときにゆでガエルのお話を聞いたことがあります。
沸騰した鍋にカエルを入れるとびっくりしてカエルは逃げ出してしまいますが、常温の状態から火にかけると沸騰してもカエルは逃げ出さずに死んでしまう、という話です。(実際は後者でも逃げ出すらしいです)
これにかけて、現場ではちょっとした小さい危険を気にせずほったらかし、それに慣れてどんどん危険な状況になっても気にしなくなり、最後は重大事故を起こしてしまう、という教訓として労働災害防止のための教育に用いられます。

【育児の鍋は逃げ出せない】
 なぜこれを思い出したかというと、育児における鍋は最初からアツアツで、しかも逃げ出すことができない過酷なものだなぁと思ったからです。
仕事ならやばいと思ったら逃げ出せばいいし、もしかしたら途中で環境が変われば鍋が冷めてくれるかもしれません。
しかし育児の場合、自分だけでなく子どもも絡むので、ストレスの原因をわかっていても簡単に変えられない、アツアツの鍋の中で耐えるしかできないことも多いでしょう。

【妻の思惑とキャパシティ】
 私が来月末に育休が終わることを意識してか、妻は最近「お父さんはいないものとしてやっていく」と言っています。
ところが先日、妻から「育休とったらもっと楽になると思っていた!」とか、「何のために育休とったの!」と声を荒げて言われました。
妻があたふたしているときに私が寝そべってスマホを見ていたのが気に食わなかったようで、これで火がついたようです。
私も納得がいかなかったので、あえて同じテンションで言い返しました。
「遊んでるわけじゃない」
「察してだけでは限界がある。ちゃんと言葉で言えよ。」
妻のお陰でいろいろ出来るのはありがたいのですが、今せっかく一緒にいるのに何も頼らないのは違うし、それで何のために育休とったのと言われても・・・。

とはいえ、妻の考え方もわかります。
私は育休が終わると単身赴任の可能性が高く、実際「いないもの」になってしまうからです。
今は二人がかりで長女が幼稚園に行くまでの準備をし、長男が夜泣きしたら私も抱っこして寝かしつけます。
料理や幼稚園の用事はほぼ妻がしてくれますが、洗いものや洗濯、掃除等の家事や他の用事は今でも私がやっています。
これらも全て妻の負担になったとき、夜泣きで寝れず、疲れた身体で時間に追われながらギリギリの生活をしていそうな気がします。

【溜飲が下がる】
 しばらく大声で言った後、私は心配していることをゆっくり説明しました。
「実際にあなたが倒れたりしたら、俺は単身赴任は出来なくなる。
家から通勤して会社で内勤するパターンも想定しているから、そのために資格も含めていろいろ勉強している。
スマホを触ってるのも株価やマイホームのための情報収集をしているためで、遊んでいるわけではない。
家なんか買うと決めてすぐに出来るものではないし、年齢的に住宅ローンを組むならあまり時間もない。
形は違えど俺も将来の事を思って動いている。
いないものとして扱われても、楽して遊んでいるわけではない。」
言いたいことを言って、妻もそこまで私が何を考えているのかわかっていなかったのか、お互いに溜飲が下がったと思います。

【私のゆでガエルの解釈】
 さて、冒頭のゆでガエル理論ですが、私は少しポジティブに解釈しています。
人間は慣れてしまうと大けがをしますが、逆に言うと、人間は変わっていく環境にも慣れて順応することができるということです。

私の残り2か月弱の育休は、「私のいない状況でも妻がつぶれずに育児に順応できるようサポートする」ということのためにあると考えました。

妻は考えだすとなかなか決められない性格です。
それで時間が割かれてストレスになるのであれば、一緒にいる今のうちに決められるものは決めてしまいます。
(今は子どもの習い事は何がいいか色々見ているようです)

そして完璧を求めやすく、一人でため込みやすい性格です。
特に疲れているときはやり過ぎないように寄り添って声をかけます。
(疲れているときまでしっかりご飯を作る必要はないんです)

そして一番のストレスは、長女の赤ちゃん返りです。
甘えるだけなら何も問題ないのですが、長男を叩いたりして怪我させる恐れがあるため毎日怒っています。
この長女の問題がクリアになれば、(これが問題としては大き過ぎるので)ほぼ解決できると思っています。
私が長女とできるだけ一緒に過ごしながら「君は本当はやさしいお姉ちゃんだ」ということを認識させたいと思います。

育休をとって半年になりましたが、今でも育児が安定せずに悩むことがあります。
妻が順応できる前に鍋が沸騰してしまわないよう、自分ができる事、やっておかなければいけないことは何かを考えて、残りの2か月弱を有意義に過ごしたいと思います。